賃貸物件を借りるときには、「知っておきたいこと」や「押さえておくとお得なこと」がたくさんあります。ここでは、物件探しから契約までのポイントを分かりやすくまとめました。
部屋探しのための基礎知識
1. 予算と希望を整理する
部屋探しを始める前に、“自分や家族にとって何が一番大事か”をはっきりさせておきましょう。
「家賃をなるべく抑えたい」「職場に近い物件がいい」「通勤時間は長くても静かな場所に住みたい」など、人によって優先事項はさまざまです。すべてを叶えるのは難しいので、どれを最優先にするかを決めておかないと、いつまでも物件が決まりません。
- 家賃の上限を決める
無理なく払える家賃を考えるのがスタート。目安として、手取り収入の30%程度に抑えると生活に余裕を持ちやすいといわれています。 - ライフスタイルに合った条件を決める
- 職場や学校に近いほうがいい?
- 古くても広い部屋がいい?それとも狭くても新しい物件がいい?
- 「バス・トイレ別」は絶対条件? など
予算と優先度を整理しておかないと、数多くの物件の中から何を選べばいいのか分からなくなってしまいます。
2. 家賃の相場を調べる
部屋探しを始めるなら、まずは希望するエリアの家賃相場をチェックしましょう。
地域ごとにだいたいの相場は決まっているため、たとえばワンルームの相場が「7万円台」のエリアで「5万円台」を探しても、見つかる可能性は低くなります。
もし希望エリアの相場が予算より高ければ、条件を少し緩めるか、別のエリアも検討するほうが近道です。
また、2~4月や9月は引っ越しシーズンで物件数が増える反面、競争率が上がり相場も高めになる傾向があります。
具体的な賃貸情報の集め方
1. インターネットや情報誌
- インターネット
賃貸サイトやポータルサイトは情報量が豊富で更新も速く、相場を調べるのにも便利です。 - 情報誌
不動産会社から集めた情報をまとめて見られますが、発行までに時間がかかるため、掲載時点で既に成約済みの物件が載っていることもあります。それでも、多くの物件情報をパッと見比べられる利点があります。
2. 不動産会社の賃貸情報
- 消費者向け情報
不動産会社は、インターネットや情報誌などで直接物件をPRしています。 - 業界内情報
不動産会社同士で物件情報を共有している場合もあり、こちらは消費者が直接見る機会は少ないですが、店舗に行くと見せてもらえることがあります。
物件情報は一つでも多くチェックして、納得のいく部屋探しをするのがおすすめです。
入居の申し込み
1. 入居申し込みは「契約」ではない
気に入った物件が見つかったら、不動産会社に**「入居申込書」**を提出します。
これはあくまで「この物件に住みたい」という意思を伝えるための書類で、まだ契約ではありません。そのため、入居申込書を出してからでもキャンセルは可能ですが、あまり軽率なキャンセルは不動産会社に迷惑をかけるので、申し込み前によく考えましょう。
2. 入居審査で落ちることもある
家主は「入居申込書」を見て、**「この人に貸して大丈夫か?」**を判断します(=入居審査)。
審査には通常1週間ほどかかり、場合によっては審査に通らないことも。大家さんからすると、自分の物件を安心して貸せる人に住んでもらいたいので、安定した収入があるか、トラブルを起こさなそうかなどをチェックします。
3. 預かり金を支払うとき
申込書を出す際に、数千円~家賃1ヵ月分程度のお金を**「預り金」「申込金」として不動産会社に渡すケースがあります。
ただし、これを支払っても契約の優先権を確保したわけではなく**、家主がOKしなければ契約は成立しません。
審査が通らず契約が成立しなかった場合、この預り金は返ってきますが、渡す際には必ず**返金について明記された「預り証」**をもらっておきましょう。
契約が決まった場合は、初期費用の一部として扱われることが多いです。
賃貸契約を結ぶとき <small>(flow_lease_3)</small>
1. 契約までに用意する書類一覧
(A)一般的に必要な書類
- 住民票(入居者全員分)
- 収入を証明する書類(源泉徴収票・給与明細など)
(B)必要な場合がある書類
- 保証人の印鑑証明書
契約までに用意するお金(首都圏の目安)
- 礼金:家賃の0~2ヵ月分
- 敷金:家賃の2~3ヵ月分
- 仲介手数料:家賃の0~1ヵ月分+消費税
- 前家賃:家賃と管理費の1ヵ月分程度
- 損害保険料:1~2万円程度
住民票と収入証明書
- 住民票
市区町村役所や出張所で発行可能です。契約日が決まったら早めに用意しましょう。 - 収入証明書
サラリーマンは「源泉徴収票」や「給与明細」、自営業なら「確定申告書の写し」や「納税証明書」などを提出します。
保証人の保証書
万一入居者が家賃を滞納したりした場合、保証人が代わりに支払うという内容の書類です。不動産会社によって名称は異なりますが、中身はほぼ同じです。通常は保証人の実印が必要なので、早めに準備を進めましょう。
2. 重要事項説明書と賃貸借契約のチェック項目
1)重要事項説明書をチェックする
不動産会社は契約前に**「重要事項説明書」を渡して、内容を説明する義務があります。この書類には物件の詳細や契約内容が書かれているので、疑問点があればその場で質問し、納得してから先に進んでください。
もし定期借家契約**(契約の更新がないタイプ)の場合は、契約期間や再契約の条件などの説明をしっかり聞いておきましょう。
2)契約書は納得してから署名・押印する
契約書にサインをした時点で契約が成立するため、後でキャンセルするのは基本的に難しく、礼金や仲介手数料は戻らないことが多いです。
「よく分からないまま契約してしまった…」とならないよう、分からないところは必ず質問し、しっかり理解してから署名・押印するようにしましょう。
以上が、賃貸物件を借りる流れの大まかなポイントです。
ぜひこのチェックポイントを活用して、自分に合う物件を見つけてくださいね。